軽貨物の拘束時間・連続運転時間|一人でも守る時間のルール

「今日はあと1件だけ回れる」「休憩は車の中で5分だけ」——軽貨物の現場では、時間の管理が本人まかせになりがちです。
ですが、2025年(令和7年)4月から、貨物軽自動車運送事業者にも「運転者の勤務時間の遵守」が法令上の義務として求められています。しかも、一人で事業を行っている場合も対象です。国土交通省の資料には、こう書かれています。
一人で事業を行っている場合は、自ら上記時間の範囲において勤務時間を設定し、遵守する必要があります
国土交通省 物流・自動車局 安全政策課「貨物軽自動車運送事業における安全規制について」
この記事では、守るべき時間の基準を早見表で整理し、現場でどう回せばいいかを考えます。
時間の基準:早見表
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 1年・1か月の拘束時間 | 1年に3,300時間以内、1か月に284時間以内 |
| 1日の拘束時間 | 13時間以内(上限15時間、14時間超は週2回までが目安) |
| 1日の休息期間 | 継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない |
| 合計運転時間 | 2日平均1日9時間以内、2週平均1週44時間以内 |
| 連続運転時間 | 4時間以内(中断は1回おおむね連続10分以上、合計30分以上) |
「拘束時間」は運転時間ではありません
いちばん誤解が多いのがここです。拘束時間は「始業から終業まで」。荷積みの待機も、休憩も、点呼も、すべて含みます。
たとえば朝6時に営業所へ入り、夜7時に業務を終えたら、それだけで13時間。途中で2時間待機があっても、拘束時間は減りません。「走っていた時間は8時間だから大丈夫」ではないのです。
1日13時間で組むと、逆算はこうなる
- 始業6:00 → 終業19:00(拘束13時間)
- 終業19:00 → 次の始業は翌朝4:00以降(休息9時間を下回らない)
- 本来は継続11時間(=翌朝6:00以降)を基本に組む
つまり「終業時刻が、翌日の出発時刻を決める」ということです。夜遅くまで走った翌日に早出をすると、走る前からルール違反になります。
連続運転4時間・中断は「合計30分以上」
連続運転は4時間以内。中断は1回おおむね連続10分以上、合計30分以上が必要です。
ポイントは「合計30分でよい」こと。まとめて30分止まらなくても、10分+10分+10分のように分けて取れます。宅配のように短い停車を繰り返す仕事では、次のような組み方が現実的です。
- 午前の配達 → 積み替え時に10分座って休む
- 昼食で20分〜(ここでまとまった中断を取る)
- 午後の折り返しで10分
「休憩したつもり」ではなく、何時から何時まで休んだかを記録に残すのがコツです。あとから見返したときに、基準内で回せているかが分かります。
記録が残っていないと、守っていても証明できない
2025年4月からは業務の記録(日報)の作成と1年間の保存も義務です。国土交通省の資料では、勤務時間の遵守方法として次のように示されています。
拘束時間、休息期間、合計運転時間については、運行の計画を立てる際に業務記録等を参照し、基準を超えた勤務時間となっていないかを確認
つまり「記録を見て、次の運行を組む」というのが本来の流れです。記録がなければ確認のしようがありません。点呼記録簿・日報の保存については、軽貨物の点呼記録簿・日報はいつまで保存する?で詳しくまとめています。
時間が守れない案件は、受け方を見直す
「この案件を受けると、どうやっても13時間を超える」——そういう仕事は珍しくありません。ですが、時間の基準は、受けた案件の内容にかかわらず事業者に課されます。
- 拘束13時間で収まるかを、受注の前に逆算する
- 待機が長い現場は、待機時間の扱いを発注元に確認する
- 恒常的に超える案件は、単価か件数の見直しを協議する
取引先の選び方については、軽貨物の元請けの選び方もあわせてどうぞ。
よくある質問
Q. 一人親方でも本当に対象ですか?
対象です。国土交通省の資料に「一人で事業を行っている場合は、自ら上記時間の範囲において勤務時間を設定し、遵守する必要があります」と明記されています。
Q. 休憩を10分ずつしか取れません
1回おおむね連続10分以上であれば中断として扱われ、合計30分以上あれば連続運転の中断になります。ただし、疲労の回復という目的からは、まとまった休憩を1回は入れたいところです。
Q. 荷待ちが長い日は拘束時間に入りますか?
入ります。始業から終業までがすべて拘束時間です。荷待ちが常態化しているなら、発注元との協議が必要な場面です。
まとめ
- 2025年4月から、軽貨物にも勤務時間の遵守が義務。一人でも対象。
- 1日の拘束13時間以内・休息9時間を下回らない・連続運転4時間以内が柱。
- 拘束時間は待機も休憩も含む。終業時刻が翌日の出発を縛る。
- 記録がなければ確認も証明もできない。日報は1年保存。
ロジバディの運行管理では、点呼・休憩の開始/終了・日報が入力した順に記録として残り、1日の流れをあとから確認できます。時間の管理を「頭の中」から「記録」に移すのが、いちばん確実な対策です。
※本記事は一般的な解説です。最終的な判断は管轄の運輸支局・労働基準監督署、または専門家にご確認ください。



