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軽貨物で開業するには?黒ナンバー取得までの流れと必要書類

公開日

軽貨物運送(貨物軽自動車運送事業)を始めるには、運輸支局への届出と、黒ナンバーの取得が必要です。

一般貨物(青ナンバー)のような許可制ではなく届出制なので、比較的始めやすいのが特徴です。ただし2025年(令和7年)4月から安全対策の義務が強化されており、「届出して終わり」ではなくなっています。

この記事では、開業までの流れと必要書類を、国土交通省・運輸支局の公式資料をもとに整理します。

※本記事は一般的な解説です。必要書類の細部や様式は管轄の運輸支局により異なる場合があります。必ず管轄の運輸支局にご確認ください。


軽貨物は「届出制」

まず、一般貨物との違いを押さえておきましょう。

軽貨物(黒ナンバー) 一般貨物(青ナンバー)
参入方法 届出 許可
車両数 1両から可能
試験 なし 法令試験の合格が必要
安全管理体制 貨物軽自動車安全管理者(講習修了・2年ごとに定期講習) 運行管理者(国家資格)

東京運輸支局の「貨物軽自動車運送事業者ハンドブック」には、軽自動車は輸送能力が限られているため、許可が必要な一般貨物自動車運送事業よりも緩やかな規制で、1両からでも届出が可能である旨が記載されています。

根拠となる法律は貨物自動車運送事業法 第36条です。


使える車

対象になるのは次の車です。

  • 125cc超〜660cc以下の軽自動車(貨物)
  • 軽乗用車(乗車定員3名以上のものに限る)

軽乗用車も使えるようになりました

以前は貨物車である必要がありましたが、令和4年10月27日から、構造変更をしなくても軽乗用車を使えるようになりました。

ただし積載量に制限があります。

積載可能重量 =(乗車定員 − 乗車人数)× 55kg

4人乗りの軽乗用車の場合はこうなります。

乗車人数 積載可能重量
運転者のみ(1名) 165kg
2名 110kg
3名 55kg
4名 軽貨物事業として使用不可

また、旅客の運送はできません(人を運ぶ事業には使えません)。


開業までの流れ

ステップ1:運輸支局へ届出

営業所の所在地を管轄する運輸支局(輸送担当)へ、届出書類を提出します。

ステップ2:事業用自動車等連絡書の発行を受ける

届出が受理されると、運輸支局で「事業用自動車等連絡書」が発行されます。これが次のステップで必要になります。

ステップ3:軽自動車検査協会で黒ナンバーを取得

連絡書を持って軽自動車検査協会へ行き、車検証の記載変更と、事業用の黒地のナンバープレートの交付を受けます。


必要書類

東京運輸支局のハンドブックに記載されている、新規開業時の必要書類は次のとおりです。

書類 備考
経営届出書 正・控の2部
運賃料金設定届出書 正・控の2部
運賃料金表 正・控の2部
事業用自動車等連絡書 正・控の2部
自動車検査証(中古車の場合)または完成検査終了証(新車の場合) コピー可

「運賃料金表」を自分で作る必要がある点は、見落とされがちなので注意してください。

宣誓書の項目が追加されています

様式の改正により、宣誓する項目が追加されています。新規届出・営業所の新設・増車のときに、次の内容を宣誓します。

  • 車庫について使用権原があること
  • 車庫の土地・建物が都市計画法等の関係法令に抵触しないこと
  • 貨物の運送に関し支払うことのある損害賠償の支払い能力を有すること

3つ目は新しく加わった項目です。実務的には、事業用の任意保険への加入を検討することになります。


法人と個人事業主で違いはある?

制度上、手続きの流れや必要書類に差はありません。届出書の記載欄が「氏名又は名称/代表者氏名」となっており、法人は名称と代表者名を、個人は氏名を記入する、という様式上の違いだけです。


開業後に必要になること

ここが2025年4月から大きく変わった部分です。届出をして黒ナンバーを付けたら終わり、ではありません。

貨物軽自動車安全管理者の選任

営業所ごとに選任し、講習を受けて届出をします。一人で事業を行っている場合も、自ら実施する必要があります。

  • 令和7年3月末までに経営届出をした事業者 → 令和9年(2027年)3月までに
  • 令和7年4月以降に経営届出をした事業者 → 速やかに

詳しくは「貨物軽自動車安全管理者とは?講習・届出・期限をわかりやすく解説」で解説しています。

日々の点呼と記録

記録 保存期間
点呼記録簿 1年
業務の記録(日報) 1年
事故の記録 3年
指導および監督の記録 3年

車両の表示

車両に、名称・氏名もしくは記号を見やすいように表示する必要があります。

台数が増えたときの選任義務

台数 必要になるもの
5台以上 安全運転管理者の選任+都道府県公安委員会へ届出(選任した日から15日以内)
営業所ごとに10両以上 整備管理者の選任

安全運転管理者は道路交通法に基づくもので、20歳以上・運転管理2年以上の実務経験などの要件があります。


開業時によくあるつまずき

「営業所」と「車庫」をどこにするか

届出には車庫の使用権原が必要です。自宅の駐車場を使う場合でも、権原(所有・賃貸など)を説明できる状態にしておきましょう。

運賃料金表を作っていない

必要書類に含まれています。どういう体系で運賃をもらうのか(距離制・時間制・個建てなど)を決めておく必要があります。

開業後の記録を軽く見てしまう

2025年4月以降、点呼と日報は軽貨物事業者にも明確に義務があります。「面倒だから後で」と溜めると、1年分の保存が必要なだけに取り返しがつきません。最初から記録が残る形にしておくのが結局いちばん楽です。


よくある質問

Q. 届出の手数料はいくらですか?

本記事では、公式資料で金額を確認できなかったため記載していません。管轄の運輸支局にご確認ください。

Q. 1台だけでも始められますか?

はい。軽貨物は1両から届出が可能です。

Q. 開業してすぐ案件は見つかりますか?

黒ナンバーを取っても、仕事が自動的に来るわけではありません。元請けとつながる手段を並行して用意しておくことが重要です。

Q. 家族に手伝ってもらう場合は?

運転者が増える場合、その人が初任運転者に該当すれば特別な指導と適性診断が必要になります。また運転者の情報は「貨物軽自動車運転者等台帳」に記載して営業所に備え置きます。


まとめ

  • 軽貨物は届出制で、1両から始められる
  • 流れは「運輸支局へ届出 → 連絡書の発行 → 軽自動車検査協会で黒ナンバー取得」
  • 必要書類は経営届出書・運賃料金設定届出書・運賃料金表・事業用自動車等連絡書(各正副2部)+車検証等
  • 軽乗用車も使えるが、積載量は(定員−乗車人数)×55kg。4人乗車では不可
  • 2025年4月から安全管理者の選任・点呼・日報の記録が義務化されている
  • 法人・個人事業主で手続きに差はない

開業のハードル自体は高くありません。むしろ大変なのは開業したあと、仕事を安定して確保し、記録の義務をこなし続けることです。

※本記事は2026年7月21日時点で国土交通省・運輸支局が公表している資料に基づいています。手続きの詳細は管轄の運輸支局にご確認ください。

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